研究概要 |
1.BccFe,HcpCo、FccCo,FccNiなどの強磁性3d遷移金属の単体について、スピン軌道相互作用を取り入れたLMTO-ASA法によって第一原理から計算された電子構造(エネルギー固有値と波動関数)を用いて、遷移行列要素から光学伝導度の対角項、非対角項を計算し、磁気光学カースペクトルを計算した。計算したスペクトルが実験とよく一致することから、基底状態のバンド構造を用いて、一体近似の範囲内で光学遷移を計算してもよい結果が得られることがわかった。特にスピン軌道相互作用に起因するわずかなバンドの分裂も、計算によってかなり正確に再現されていることがわかった。 2.強磁性/非磁性多層膜Fe(nML)/Au(nML)(n=1,2,3,4,5,6)、遷移金属多層膜TM(1ML)/X(2ML)(TM=Mn,Fe,Co;X=Pd,Pt,Ag,Au)、L1 0型規則合金TM-X(TM=Mn,Fe,Co,X=Pt,Au)など多くの物質について,LMTO-ASA法を用いて電子構造の第一原理的計算を行い、その電子構造から遷移行列を計算し、磁気光学カースペクトルを計算した。多くの場合得られたカースペクトルは実験とよく一致した。遷移行列と電子構造の関係を詳しく調べることにより、TM-X界面に軌道混成を介した特徴的な光学遷移(X(5d)->TM(3d))が生じることを発見し、この種の遷移がカースペクトルの特徴を決定していることを明らかにした。 3.ハーフメタルであるPtMnSbなどのカースペクトルも計算して調べ、ハーフメタル性がカースペクトルに大きく影響していることなどを明らかにした。
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