研究課題/領域番号 |
10640353
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研究機関 | 姫路工業大学 |
研究代表者 |
小原 孝夫 姫路工業大学, 理学部, 教授 (70107986)
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研究分担者 |
岩本 雄二 姫路工業大学, 理学部, 助手 (80244680)
上田 光一 姫路工業大学, 理学部, 助手 (20203440)
小堀 洋 姫路工業大学, 理学部, 助教授 (10153660)
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キーワード | 超伝導 / 高圧セル / NQR / NMR / 内部磁場 / Ce化合物 |
研究概要 |
初年度は、核四重極共鳴用に使えるような高圧セルの開発と反強磁性体(常圧)である対象物質の核四重極共鳴の測定とを並行して研究をおこなった。まず、第一の対象試料CeIn_3,CePd_2Si_2(ともに10K近くにネール点をもつ)では、SiのNMRをはじめ、In,PdのNQP信号が観測でき、結果の一部を'98秋の物理学会、ならびにSCES'98で発表した。特にCeIn_3では「4〜5kOeの内部磁場が電場勾配の主軸に垂直な面に生じていることが明らかになり、電気四重極パラメタも決定」できた。核スピンー格子緩和率の温度変化からは、ネール点以上でCeの磁気モーメントの低周波ゆらぎにより温度によらず一定であり、十分低温では温度に比例することがわかった。このことは磁気的秩序した低温では強く相関している伝導電子による核磁気緩和が支配的であることを意味する。また、この系では2.5GPa以上の圧力下で超伝導転移があるが1.7GPaまでの圧力領域でのNQR予備実験では、「圧力による内部磁場値の大きな変化は観測できなかったが、前記の磁気的ゆらぎが大きく抑えられていること」が明確になった。2年度には、さらに高圧下での実験が進み、2.8GPaまでInのNQR測定が出来た。そしてそのまま0.25K以下に温度を下げれば超伝導転移が観測できるが、現行の高圧セルでは最大冷却能力での希薄冷凍機でもセル内では0.5Kまでしか下がらず高圧セルのさらなる改良ならびに試作が必要である。一方、CePd_2Si_2中でのPd NQRについては結晶学的に対称性がよいPd位置での内部磁場の相殺がおこり、Pd NQRスペクトラムはネール点前後で変化はなかったが、核磁気緩和率については定性的にCeIn_3の場合と同様な結果となった。また、同種の圧力誘起超伝導体であるCeNi_2Ge_2中のNi NQR、ごく最近発見されたCeRhIn_5のIn NQR測定も今後の研究対象にしていく予定である。
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