研究課題/領域番号 |
10640356
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研究機関 | 福井工業大学 |
研究代表者 |
遠藤 裕久 福井工業大学, 工学部, 教授 (40025284)
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研究分担者 |
山本 逸郎 弘前大学, 教育学部, 助教授 (40210520)
星野 英興 弘前大学, 教育学部, 教授 (30001861)
樋渡 保秋 金沢大学, 理学部, 教授 (20019491)
井川 淳志 京都大学, 理学部, 助教授 (80243004)
池本 弘之 富山大学, 理学部, 助手 (20262496)
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キーワード | 液体カルコゲン / 半導体-金属転移 / ネットワーク構造と鎖状構造 |
研究概要 |
本研究の目的はセレン等カルコゲン系液体が高温で構造相転移を伴って半導体から金属へ転移する過程と機構をミクロな立場から明らかにすることである。我々は昨年度、既に液体As-Teカルコゲナイドが高温500℃近傍で3配位ネットワーク構造から2配位鎖状構造へ転移し、このとき半導体から金属へ転移することを見いだした。この転移に関して我々は次のようなモデルを提唱している。すなわち、金属化はボンドの熱的切断により鎖端に生じたダングリングボンドおよび鎖間を架橋するAsボンドが3配位から2配位へ変化することに由来する。この鎖構造の変化とともにAs原子上に空のlone pair軌道が生じ鎖内の荷電ゆらぎと鎮間の頻繁な荷電移動によって金属伝導が誘起されることになる。 今年度、池本らは液体As-Te混合系の磁気抵抗を測定し、半導体領域で磁気抵抗の値は小さいが金属への転移領域で著しい増加を示すことを見いだしている。また星野らは液体As-Te混合系の電気伝導度の圧力変化を測定し、加圧により鎖間距離を縮小すると電気伝導度が増加することを見いだした。これらの結果の考察から我々はこの系の電導pathは鎖聞方向であると結論した。遠藤らは液体Se-Te系について半導体-金属転移領域の局所構造変化に着目してEXAFS測定を行った。この系でばTe原子に近接するTeの配位数が半導体・金属転移の起こる温度近傍から著しく減少する。これはTe-Teボンドが熱的に切断され易く、Se濃度の増加とともに高温でTeは鎖のターミネーターとなる傾向があることを示唆する。 樋渡、井川らの計算機シミュレーションのグループは、カルコゲン鎖のトポロジーについて並列分子動力学シミュレーションの技法を用いた高速大規模計算により高圧下のTe-Se混合系の相転移と電子分布についての詳細な情報を得ることに成功した。
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