研究課題/領域番号 |
10640375
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
里子 允敏 日本大学, 文理学部, 教授 (30113426)
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研究分担者 |
保田 英洋 大阪大学, 超高圧・電子顕微鏡センター, 助手 (60210259)
澤田 信一 関西学院大学, 理学部, 教授 (80253904)
池田 研介 立命館大学, 理工学部, 教授 (40151287)
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キーワード | 動力学 / 合金化 / 金属クラスター / 原子間相互作用 |
研究概要 |
保田・森らの発見した2元金属クラスターにおける「自発的合金化現象」の機構解明を、分子動力学シミュレーション計算・合金の電子状態計算、電顕観察などにより実施した。2体モースポテンシャル、原子埋め込み法(EAM)、Petifforのモデルポテンシャル、tight-binding計算等による種々の原子間相互作用を用いた分子動力学計算を実施した結果、クラスター表面原子は不安定で表面を拡散し、特に臨界半径以下のクラスターの表面原子は、ほとんど融解状態といってよいほど動的活性状態にある。そして、クラスター内部原子はほとんど固相状態にあっても、表面原子がクラスター全体の原子数に比べて多いため、表面付近の原子が激しく運動していれば、原子同士の位置交換がクラスター内部の原子まで巻き込んで行われる。基本メカニズムとして、クラスター内部の原子はいつまでも内側に留まらずに、表面付近での原子の激しい位置交換によって、いつの間にかクラスターの表面へとはじきだされるという、皮むきダイナミクス(Peeling Dynamics)と呼ぶ機構で、合金化が起こっていると考えられる。また、金属クラスターの電子状態計算から、tight-binding molecular dynaimcs用のSlater-Kosterパラメターを評価し、固体の電子状態を求めた。定量的には重なり積分のパラメターが固体エネルギー再現に重要であることが得られた。、 一方、新たな実験から二相領域に相当する組成をもつAu-Sn、Au-Sb、Au-Sn-Pb系等のバルク合金の成分をもつ合金ナノ粒子について、低温から高温における微細構造を観察し、アモルファス的微細組織の存在することが分かった。それは融点の近傍まで保持され結晶化過程を経ずに溶融すること、凝固過程においても液相からこの組織が直接現れることから、熱的に高い安定度を有する構造であると考えられる。 このような合金ナノ粒子においては、構成原子間の化学的性質により複雑な振る舞いを示すこともあり、更なる研究を続けている。
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