研究課題/領域番号 |
10640395
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
池田 研介 立命館大学, 理工学部, 教授 (40151287)
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研究分担者 |
首藤 啓 東京都立大学, 理学研究科, 助教授 (60206258)
高橋 公也 九州工業大学, 情報工学部, 助教授 (70188001)
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キーワード | トンネル効果 / カオス / 複素半古典論 / 複素力学系 / カオス的トンネル効果 / ジュリア集合 |
研究概要 |
複素半古典論と純量子論によって、カオスが関与する多自由度トンネル現象を、動的トンネリング・障壁トンネリング双方に対して調ベ、以下の成果を得た。 1.カオス系のトンネル現象に重要な複素トンネル軌道と、数学の分野で活発に研究されてきたいわゆるジュリア集合の重要な関係の数値的ならびに、数理的な研究を行った。その結果、いわゆる、双曲条件が満足されている理想的な場合には、トンネル効果に寄与する軌道集合は無限時間の極限でジュリア集合に含まれる事、さらに有限時間でもある系列をとると、ジュリア集合に収束する軌道集合になっていることが示された。これからの課題は双曲条件が満足されていないより現実的な場合の研究である。 2.上記研究の過程で、いわゆるベトヒャー座標がトンネル効果に重要な役割を果たすことを見いだした。ベトヒャー座標とジュリア集合、トンネル集合の関係の解明を進めている。 3.シンプレクティック積分法を用いてもっとも簡単なクラスの2Dの障壁トンネル効果の詳細な研究を行った。その結果、昨年の研究で1・5自由度トンネル効果で見いだしたフリンジトンネル効果が2Dでも普遍的であるという確証を得た。 4.多次元障壁トンネリングの機構に対する半古典論的研究を行い、フリンジの原因が、複数本の複素古典トンネル経路が寄与しその干渉効果に起因することを明らかにした。さらに、複数本の寄与が特異点の発散的挙動に関係することを突き止めた。目下、その数理の詳細を解明することに全力をあげている。
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