• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1998 年度 実績報告書

点状障害物を持つ量子ビリヤード系の研究

研究課題

研究課題/領域番号 10640396
研究機関高知工科大学

研究代表者

全 卓樹  高知工科大学, 工学部, 助教授 (60227353)

キーワード低次元量子系 / Luttinger液体 / 接触力 / 非連続波動函数 / 双対性 / 非ホロノミー / 量子カオス / 二重螺旋
研究概要

一次元量子系における接触相互作用を考察した。この次元では、通常のδ函数以外にも波動函数そのものに非連続性をもたらす「第二種の」接触相互作用が存在し得ることが数理的に知られていたが、これをいかにして実際に構成するかが不明であった。これを局所オペレーターの零レンジ極限として実現する手法を編み出した。
この第二種の接触力を二粒子間の相互作用として働く場合、通常のδ函数とは逆に相対波動函数の対称状態では作用が無く、反対称な状態にのみ作用することに注目して、これが一次元フェルミオン多体系の二体力の一般的な短距離極限として考えられることを指摘した。そして更にこの一次元フェルミオン多体系がδ相互作用する同数の一次元ボソン多体系と双対な関係にあることを示した。これはつまり一方の弱結合が他方の強結合に対応するという格好で双方を同等なものと見なせるということである。このボソン系についてはベーテ仮説による厳密解が知られているので、これは一次元フェルミオン多体系の新たな可解モデルを考案したことに相当する。
また通常のδ函数と第二種の接触力函数を組み合わせたもっとも一般的な三パラメタの一次元点状相互作用を考えると、これを離散スペクトルを持つ閉鎖粒子系に作用させた場合、そのエネルギースペクトルのパラメタ空間に特異性があらわれ、その周りのエネルギ一面が二重螺旋構造をとっていることを解析的、および数値的に示した.これはベリー位相を更にエキゾチックにしたものに相当し、系の外的環境をゆっくり変化させて元に戻したとき基底状態を励起状態に変換させられるということである。
最後に、これまで行ってきた二次元量子ビリヤード系における量子カオス的順位統計の研究では、量子カオス出現の条件の簡潔な解析的表式を得ることが出来た。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] T.Cheon,T.Shigehara: "Realizing discontinuous wave functions with renor malized shart-range potentials" Physics Letters A. 243. 111-116 (1998)

  • [文献書誌] T.Shigehara,H.Mizoguchi,T.Mishima,T.Cheon: "Chaos induced by quantization" IEICE Transactions on Fundamentals. E81-A. 1762-1768 (1998)

  • [文献書誌] T.Cheon: "Double spiral energy surface in one-dimensional quantum mechanics of generalized point like potentials" Physics Letters A. 248. 285-289 (1998)

  • [文献書誌] T.Cheon,T.Shigehara: "Fermion-boson duality of one-dimensional quantum particles with generalized contact interactions" Physical Review Letters. 82. 2536-2539 (1999)

URL: 

公開日: 1999-12-11   更新日: 2021-04-26  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi