本研究の目的は、日向灘や三陸沖で過去数十年の間に再来したM7〜8クラスの地震の詳細な震源過程を比較することにより、同一地域での震源過程の再現性・非再現性や地域特性を明らかにすることである。 研究計画の初年度にあたり、まず、データの整理と予備的な解析を行った。主として、気象庁の1倍強震計記録およびWWSSNの長周期地震計記録を収集しデジタイズした。手掛けた地震は (1)日向灘1968年4月1日(2)十勝沖1968年5月16日(3)東南海1944年12月7日 である。一方、これらの地域の再来地震として、(4)日向灘1996年10月19日と12月3日(5)三陸はるか沖1994年12月28日を取り上げ、これらの地震についてはグローバル広帯域地震計と近地強震計のデジタル記録を用いて解析した。 予備的解析の結果、以下のことが示された。 (1) 日向灘地域では、個々の地震は基本的に1個のアスペリティの破壊で終息する。 (2) 三陸沖では、初期破壊点から主アスペリティまで緩やかなモーメント解放が見られ、かつ、複数のアスペリティの連動が見られる。 (3) 1944年東南海地震では、初期段階で主破壊より一周り小さいアスペリティの連動がある。
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