火星にはランパート・クレーターと呼ばれる特異な形状のクレーターが多数存在する.本研究ではこのクレーターの形成プロセスを明らかにすることを目指し、Viking画像の解析を行ってきた.と同時にPlanet-B(Nozomi)での火星探査のための前準備として火星地形の基礎的なデータベース作りも兼ねている. 本年度は合衆国地質調査所発行の火星地図(250万分の一)によるViking画像の整理、ランパートクレーターのマッピング、地形高度解析手法の開発を行ってきた. 1) 基礎的データの収集: Viking CD-ROM;全シリーズ 地形図(250万分の一)、地質図、Photo-Mosaic図:全シリーズViking画像・オービター番号対応テーブル、地域表:全シリーズ これらのデータセットにより各地域毎の画像の検索が可能になり、効率的な画像解析が定常的に行えるようになった. 2) 地形高度解析プログラムの開発 Photoclinometryにもとづいた効率的な手法を開発し、Viking画像で十分な精度が得られることがGlobal Surveyerのレーザー高度計でのデータとの比較・対照により確認された(宇宙研シンポジュウム発表).また同時に解析上のいくつかの問題点も明らかになり、Planet-B(Nozomi)でのMIC観測に向けての有用な情報となった. 3) ランパートクレーターの成因について これらの画像にもとずいてランパートクレータの系統的な形状解析が始まった.詳細は次年度に持ち越されているが、ランパートクレーターの基本構造はダブル・ロベート型であること、さらにその2つのローブの形成順序は内側が先、外側があとに形成されたことが明らかになった(30th LPSCで発表予定).
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