研究概要 |
ワークステーション及び大型計算機上に,マクロな断層系のモデルを再現し,弾性的な応力の相互作用を考慮した地震活動のシミュレーション・プログラムを移植し,大規模な断層系の地震活動シミュレーションを行った.これまで,80程度の断層系(代表的なサイズは50〜100km)しか扱えなかったものが,原理上計算機のメモリ一杯までの計算が可能となった.なお,今年度行った計算で扱った最大の要素数は,900程度(代表的なサイズ20〜30km)である.また,シミュレートされた地震活動に長距離相関が見られるかどうか,検討するための可視化ルーチンをパーソナル・コンピュータ用のソフトに追加した. その結果,(1)断層系をセグメントに分割することにより,いろんなサイズのイベントが発生するが,当然小さいイベントの数は多く,3〜4個のセグメントが同時にすべる大きなイベントは少ない.(2)内陸の断層系毎にΔCFFの平均値の時間変化を見ると,千年オーダーの周期で,その振幅が変動する様子が見られる.(3)北海道西方沖のモデル断層系と,鳥取付近及び神戸付近の断層系間に,シミュレートした10000年間にそれぞれ1回程度同じ年にイベントが発生している例がある.(4)初期値に1%のランダムなエラーを付加して,同じ計算を行ったところ,位相空間内においてエラーを含んだモデルは“正しいモデル"から離れて行くが,その時間変化は一様でなく,また,指数関数的に増大する様子もない.しかし,かなりのfluctuationが重畳しており,計算開始後1000年以内でも“瞬間的に"数千年後の平均的なレベルに達する場合もある,等が明らかになった.
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