研究概要 |
京都大学大型計算機センターに平成11年3月に導入されたVPP800に移植したプログラムを用いて,シミュレーションを継続した.特に,地震活動の統計的性質を再現するべく,大要素数モデルでのシミュレーションと,深さ方向に強度分布が変化するモデルでのシミュレーションを行なった. 今年度は,断層要素数900〜2500の大規模モデルでのシミュレーションを行い,断層要素のサイズの効果を検討した.さらに,初期応力・すべり速度・摩擦係数などのパラメータに摂動を加えた場合,結果としてシミュレートされる地震活動にどのような影響が見られるか評価した.さらに,断層要素の強度を深さ方向に変化させたモデルと一様なモデルでのシミュレーションを行い,結果として得られる地震活動を比較検討した.また,内部摩擦係数を0〜0.8で変化させた場合の計算も実施した. 要素数900のモデルによるシミュレーション結果でも,要素数400のモデルで見られたと同様に,応力変化振幅に1000〜2000年程度の周期の変動が見られた. 一方,断層強度を深さに比例させて増加した場合,強度の小さい浅部の要素の破壊が頻繁に発生し,計算時間が強度一定のモデルの場合から,大幅に増加することが確かめられた.要素数1600,2500のモデルでもシミュレーションを行ったところ,要素数2500のモデルでは,京都大学大型計算機センターVPP800でもCPU60分で,10000年間の計算ができず,アルゴリズムの改良が必要であることが明らかとなった.なお,これら多要素モデルや内部摩擦係数及び強度分布を変えたモデルの計算結果は,現在整理中である.
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