研究課題/領域番号 |
10640415
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
謝 尚平 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (00261347)
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研究分担者 |
塩谷 雅人 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (50192604)
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キーワード | 大気海洋相互作用 / 気候モデル / 風速・蒸発 / 海面水温フィードバック / 大西洋の南北シーソー振動 / 大気海洋結合不安定モード / 夏期モンスーン / 砂漠の形成 |
研究概要 |
熱帯大西洋は、気候平均場においては太平洋とよく似た特徴(北半球に偏在するITCZや赤道冷水舌)を持っているにもかかわらず、非常に異なった気候変動を示している。特に、熱帯大西洋では、赤道を挟んで南北半球の海面水温がシーソー振動することが知られている。この大西洋シーソー振動が北東ブラジル・サハラ砂漠の降水にも重要な影響を及ぼす。このような南北シーソー振動がなぜ太平洋に見られないかという問題を、簡単な大気海洋モデルを用いて調べた。その結果、熱帯大気海洋結合系にエルニーニョのような南北対称モードと、大西洋シーソーのような南北反対称モードがそれぞれ存在していることが分かった。また、この2種類モードの成長特徴から、東西幅の大きい太平洋では、対称モードが不安定に成長し卓越する、一方幅の狭い大西洋では、両モードが共存することが示された。また、エルニーニョが起こりにくい上記のハイブリッドモデルに南北シーソー振動が現れることも確認した。更に、大西洋で観測されているように、モデルのシーソー振動に伴って、ITCZ内の高層雲とその外にある低層雲がそれぞれ異なる変動を示すことも分かった。 熱帯大洋のうち、インド洋は太平洋と大西洋と大きく異なり、強い季節風に支配されている。本研究はインド洋の夏期モンスーンのメカニズムについても、理想化した海陸分布の下での大気大循環モデルを用いて調べた。その結果、モンスーンの時間発展における陸面過程と地球自転効果について新しい知見を得ることができた。 最後に、本研究は熱帯に留まらず、日本列島に及ぼす冬季季節風変動の影響についても調べ、北半球スケール振動である北極振動と北海道気温変動の関係を明らかにした。
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