1.約4mまでの湖底から1mまでの堆積物を表層から乱さずに採取する方法を確立した。 2.走磁性バクテリアはため池によってその存否がはっきりしており、底質に依らない。また、走磁性バクテリアは、堆積物表層から約1cmの深さを中心にした表層堆積物中に分布しており、多くの場合、3cm、深くても5cm以下では観測されなかった。 3.磁場の下、同層順の2つの堆積物試料を互いに反平行の方位で置き、急速に凍結し残留磁化を測定することによって、固定されていない磁性鉱物粒子の寄与(可動成分)と、すでに固定されている磁性粒子の寄与(固定成分)を分離する、凍結法を開発した。解凍・凍結の過程で、固定成分が可動成分に遷移することにより、固定成分が大きく減少する場合があるが、その他の場合の解凍・凍結の影響は、概ね両者の合計の1割以下である。 4.可動成分は、表層でも30〜60%程度であり、10〜20cmになるまで、深くなるに従って減少していくものが比較的多かった。 5.可動成分は、20cm以下で20%以上増大する柱状試料があった。これらの柱状試料では、堆積残留磁化の獲得時期の部分的な逆転現象が生じる可能性がある。可動成分の割合は、帯磁率周波数依存性と相関が見られる。これは、堆積環境の変動により、安定な単磁区領域の、小さな磁鉄鉱粒子の割合が変動し、それが、可動成分の変動に寄与しているからだと考えられる。
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