1.中低緯度の地上に現れる沿磁力線電流の効果を定量的に見積もり、それを地上磁場観測データおよび人工衛星観測データ(エ-ルステッド衛星)と比較することを行った。計算結果によると、電離層直上での地磁気の傾き(伏角)が大きく影響するため、地理的経度により、沿磁力線電流の効果がかなり異なることがわかった。また、この衛星の観測データを解析することにより、これまで、地上観測データおよび精密磁場観測衛星Magsatデータから存在が推測されてきた昼間側から電離層に流れ込み、夜側から流れ出す実質電流(net-current)の存在を確認することができた。 2.DE-2による磁場観測データを統計的に解析し、電離層に起因すると考えられる中緯度沿磁力線電流を夕方側でも確認することができた。また、この電流は冬半球で明瞭に現れること、両半球間を磁力線に沿って流れる電流は、計算機シミュレーションにより従来得られてきた結果とは逆の傾向を示すことがわかった。 3.中緯度における磁場変動とMUレーダー観測データとの比較を行った。その結果、擾乱時の地上磁場変動の大部分は、沿磁力線電流を含む磁気圏電流の効果であることが示唆された。 4.SuperDARN HFレーダーデータの解析を行い、午後側日照・日陰境界付近のサブオーロラ帯に電離層不規則構造の出現する確率が大きいことが分かった。
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