今年度は現在フラックスゲート磁力計のセンサコアとして使用されている国産の2種類(ロケット搭載用及び地上観測用)のコア(A;直径20mm、B;直径30mm)と衛生搭載磁力計用の米国産コア(C:直径1インチ)およびロシア産のコア(D;直径7.5mm)の4種類について比較実験した。そのために、センサー雑音の定義と実験環境の整備、条件を定めた。外部磁界変動を避けるため磁気シールドケースを大中小の三重に遮蔽し、90dBの外部磁界の減衰を得て、電車電流の途絶える午前2-4時に実験した。その結果、外部磁場変動は10^<-4>nT以下であり、外部磁界の変動による雑音は無視できる。電気回路部の雑音は、検出コイルの短絡、励磁コイルの短絡および磁力計としての雑音比較から、電気部雑音は±0.0006nTであることを確認した。センサ出力による雑音レべルはおおよそ±0.01nT程度であり、電気雑音の2桁ほど大きい。コア励磁波形はパルス形で、(1)波形Duty(10-40%)の変化 (2)励磁周波数(3-16KHz)の変化 (3)励磁電圧振幅(6-16Vpp)の変化 (4)2種の国産コアのみパーマロイ層数(12T、6T)の各比較を行った。その結果、全般的雑音特性の傾向は、(1)波形Dutyは、25%が最も低雑音である。(2)励磁周波数は高い方が低雑音である。(3)励磁電圧振幅はおおよそl3V以上なら雑音の大きさを左右しない。(4)パーマロイの層数が少ない方が低雑音であり、層数が多くともそれ程感度は上がらない。(5)コア径が大きいもの程、感度が高い。また、4種類の各国コアの比較結果は、それぞれの寸法などが異なり、一概に優劣は断言できないが、(6)励磁周波数16KHzの場合、感度は日本製が優れ、ロシア製は劣る。雑音は日米は同程度でロシア製は1桁雑音が大きい。励磁周波数が8KHzの場合は、日本製コアは感度は優れているが、雑音が米国産コアの数倍大きい。これらの結果は、これまでになかった新たな知見である。
|