研究概要 |
今年度はこれまでの国産パーマロイコアおよび輸入コアのBH曲線データを取り、磁性材料の特性と磁力計としてのコア雑音および感度との相関関係を定量的に計測する。また、励磁周波数と雑音レベルおよび感度との関連も測定した。同時にセンサの小型小電力化の実験として、三軸磁場を一つのセンサで計測出来るセンサの開発を行っている。 コア雑音実験は、国産コアの代表的な衛星搭載用(27mmφ)とロケット地磁気姿勢計用(18mmφ)のコアおよび外国産コアである米国衛星搭載用コア(27mmφ)とロシア製コア(15mmφ)を用いた。その結果、コア磁性材の諸特性のBr(残留磁束密度)と磁力計出力感度Aoおよび磁力計コア雑音Ncの間には、励磁周波数をパラメータとして、非常によい定量的相関関係があることが判明した。結論としては、BrとAoは励磁周波数が高いほど大きくなり、Ncは励磁周波数が高いほど小さくなるが、10KH_Z以上ではBr,Ao,Ncの値がほぼ一定となる。従って、励磁周波数の最適値は10KH_Z程度である。また、衛星用コアの同じサイズ(27mmφ、パーマロイ6層)で励磁周波数10KH_Zでの国産コアと米国産コアの比較では、雑音はほぼ同じ0.02nT(rms)程度であったが、感度は国産コアが0.23V/nTに対し米国産は0.084V/nTであった。これは、国産コアは米国産よりもS/Nが優れていることを示している。 次にセンサの小型化の開発を行っており、一つは、従来型のコア二つを同一センサ内に直交させて納め、三軸コイルを巻くタイプ、他方はシリンダー状コアにドライブコイルをヘリカル状に巻くタイプである。前者センサは、充分な感度と三軸が同程度の感度が得られ、非直交性による干渉も少ないことが判明した。後者のセンサは、1軸成分がやや感度が落ちるが、ロケット姿勢や磁場方向の検出には充分な感度であった。
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