研究概要 |
本年度は,南部フォッサマグナにおいて衝突付加した海洋性島弧の可能性の強い御坂山地にターゲットを絞って研究した.特に御坂山地の西部を中心とした. 御坂山地西部に発達する火山岩・火山砕屑岩類の堆積相解析結果を検討した結果,溶岩類は玄武岩の枕状溶岩を主体とし,それに塊状溶岩やハイアロクラスタイトが伴なわれていること,枕状溶岩の流動方向を示していると思われる伸張方向は,直径1〜3kmの楕円の中心から周辺へという放射状の分布パターンを示していることが確認できた.この岩体の周辺にはタービダイトやデブライトが分布している.以上の結果は,御坂山地西部には直径1〜3kmで高さが250m前後の単成火山が多数発達していること示している.今回の検討により,以前よりあった御坂山地西部が単成火山の発達する背弧リフトであるとの仮説が実証できた. 衝突された側の地塊の運動を復元するために,年代の分かっている岩脈について古地磁気測定を行った.古地磁気測定にあたっては,新た採取した試料と以前に採取してあった試料の再測定を実施した.その結果,衝突された側のブロックは2Ma以降に時計回りに30度前後回転していたことが確認された. これらの成果は,日本地質学会第105年学術大会(1998年9月)において3件の講演として発表した.そして,その成果の一部は,現在学術誌に投稿準備中である.
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