研究概要 |
平成12年度は、約50試料のU-Th-Pb化学年代測定を行い、3年間の研究期間で、年代測定試料数182個、分析点数5600点に達した。また、8月に研究代表者および分担者に加えて研究協力者としてSHRIMP年代測定を行っている広島大学の堤を交えて研究集会を行い、年代測定値の総括を行った。研究集会に引き続き、興味深い結果の得られている年代測定地点に赴き、現地討論や試料の再採集を行った。 平成12年度においては、以下のことが明らかになった。 1.造山帯のジルコン、モナザイトやウラニナイトなどのCHIME年代は、閉鎖温度の概念で説明されるようなものではなく、熱水反応などによる鉱物の生成分解による化学的な年代であることが明らかになった。 2.飛騨変成作用の経過が解析された。衝突型変成作用は、沈み込みの開始から大陸地殻の衝突を経て最終的に上昇・削剥と続き、数1000万年継続すると考えられている。飛騨変成作用の場合は、沈み込み型の火成作用がジルコンやモナザイト年代の1つのピークである約2.7億年前にはじまり、ウラニナイト年代で示される熱水活動の終了時期の2.4億年を経て、角閃石や黒雲母のK-Ar年代が示す上昇・冷却で終わることがわかった。 以上のことに基づき、成果を2つの学会で公表した;日本岩石鉱物鉱床学会,平成11年度学術講演会(徳島)、およびInternational Geoscience Symposium,Tectono-Metamorphic History of East Gondwana-geochronological and petrological approach-at Simulation Science Center,Okayama University of Science,Japan,2001。
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