研究概要 |
(1)今年度は,測定方法の改良に手間取り実際の試料は,黒鉱鉱床と若干の鉱床鉱物についてのみ行った.しかし,測定方法に関してはかなりの進歩があり,今後の研究に多いに寄与する成果が得られた. (2)前年度作成したコンピューターのプログラムに不備な点が見つかったので,改良を行った.さらに,磁場制御などの精度を上げるためや,より迅速に測定ができるようプログラムをつくり直した.また,ノイズ対策のため,ノイズカットトランスを導入し,さらにカウンター部分を完全にシールドできるよう改良をい,ノイズの影響はほとんどなくなった. (3)オスミウムのブランクは,0.2ピコグラム以下に抑えることができるようになり,20ピコグラム程度の測定が行えるようになった.しかし,レニウムのブランクは,5ピコグラム程度で1ナノグラム以下のレニウムの測定はかなり困難である.さらに,レニウムの測定は,フイラメントやイオンソースからのレニウムの寄与の問題があり必ずしも十分ではない.しかし,ローディングの方法や測定の温度コントロールなどに工夫を行いかなり精度良く定量できるようになった. (4)黒鉱鉱床のオスミウム同位体比の測定を行い,その成果は,論文としてまとめ投稿中である.その後も引き続き,黒鉱の年代測定を目的として,鉱物分離を行って鉱物アイソクロンを得るために測定を行っている.18.6Maという年代値が得られており,この値は,従来考えられていた値より古く重要な知見である.しかし,誤差が大きくさらに検討が必要である. (5)その他の鉱床鉱物(硫化鉱物)および花こう岩類中の磁鉄鉱について測定を行っている.十分な結果ではないが,測定方法は着実に進歩しており今後の発展が期待できる.もうすこしブランクを下げることと,レニウムフイラメントのレニウムを抑えることが課題である.
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