| 研究概要 |
前年度までの野外調査・室内作業に若干の追加を行って,石炭〜トリアス紀各時代の石灰岩試料を可能な限り網羅的に収集することに努めた.とくに秋吉帯石炭・ペルム系石灰岩で,岩体の規模や岩相・生相の内容において秋吉石灰岩層群に匹敵すると考えられる青海石灰岩層群の試料を相当数加えることが出来た.本研究ではトリアス紀までの炭酸塩岩を対象としているが,ジュラ紀新世鳥巣層群相当層の石灰岩についても予察的研究を行って,今後の資料とした.
本年度は研究計画の最終年度にあたるため,これまでの成果にもとづいて,各時代ごとに代表的なマイクロバイアライト,関連の生物構築構造を記載した.さらにシアノバクテリア,固着性有孔虫などのマイクローブ類についても特徴的なグループを同様に時代ごとに記載した.本研究計画を通じて得られた資料についてさらに検討を進めていく必要があるが,今後,石炭・ペルム系秋吉・青海石灰岩,ペルム系舟伏山石灰岩,トリアス系神瀬石灰岩を代表として,わが国の主要な海山型石灰岩における造礁性生物群としてのマイクローブの変遷およびその造岩活動の結果としてのマイクロバイアライトの構造の多様性の概要を把握するに至ったと考えている.また本研究計画での鏡下観察を通じて,わが国ではこれまで報告された例がないと思われるシアノバクテリア類がいくつか見出された.これらについては今後さらに試料を収集するとともに,古生物学的検討を重ねて,古生物学的特徴,分類上の位置,類縁関係,層序的分布,産状などを明確にする予定である.
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