研究概要 |
・当研究費申請調書の段階で投稿中であった,裂歯類の新属(Higotherium hypsodon)についての論文は印刷が完了した(次ページの最初).これとは別の属(cf.Trogosus)が一昨今に見つかっており,これについても,中国とアメリカでの研修によって得たデータを使って既知の裂歯類との比較研究を終了し,その記載とトロゴッスス亜科内での系統を論じた論文を完成させた(次ページ2番目の論文). ・三番目の裂歯類とその他のグループについては,クリーニング作業を進めるとともに同定の準備を行った.しかし,アジオコリフォドン(Cr.Asiocoryphodon)の頭骨を含む母岩は異常なほどに硬く,かつ頭骨と下顎が複雑に絡まっているので,クリーニングにはなおかなりの時間を要すると判断される. ・約7日間の野外調査を熊本県宇土市と御所浦町の現地で行い、追加標本の発見に努力するとともに、付近の地質の追加調査も行った.その結果,数点の部分骨格や骨化石を新たに発見・採集したが,歯の化石は含まれておらず,新たな分類群の追加にはいたらなかった.・中国の古脊椎動物古人類研究所には同時代の化石の研究者が多数おられるので,本研究の成果と途中経過を持って10日間出張し,研究発表をして議論と意見交換を行った.また,あわせて中国産の種類の模式標本や関連標本を詳しく比較研究するとともに,それらのレプリカ作成を行い,今後の論文作成の際の比較資料とした.
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