研究概要 |
前年度に明らかにされた当別中性変質帯と志計礼辺山酸性変質帯との間に比較的広く発達する中性〜アルカリ性変質帯のうち,今年度はとくにアルカリ性熱水作用によって生成されるゼオライトについて検討した。この地域に産するゼオライトはモルデン沸石,輝沸石-斜プチロル沸石系鉱物,方沸石,菱沸石,濁沸石,束沸石およびワイラケ沸石である.これらのゼオライトは,基本的に熱水生起源であり,鉱脈としてか,この地域の新第三系中部中新統イクルシベ層、上部中新統オテシカウシナイ層,ハナクシベ層およびシケレペ層と,上部鮮新統シケレペンペツ層酸性火砕岩類や凝灰質砕屑岩類中の塊状交代生成物として産する.とくに,この研究においてゼオライト岩として定義した,熱水変質帯のゼオライト帯モルデン沸石亜帯か輝沸石亜帯か束沸石亜帯に属するモルデン沸石や輝沸石-斜プチロル沸石系鉱物や束沸石を多量に含む酸性火砕岩類は,この地域に広く分布し,量的にも多い.これらのゼオライト岩は,高い陽イオン交換容量値を持つので,土壌改良材としてや,釧路川流域,とくに釧路湿原や,霧多布湿原および厚岸湖-別寒辺牛湿原の河川水や湖水に起こっている環境汚染を減少させる資材としても有望である.
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