研究概要 |
弟子屈地域の当別浅熱水性金銀鉱脈型鉱化作用の時期は,石英-氷長石脈のK-Ar年代によって,鮮新世(2.4Ma)である。また,当別鉱脈群の東方約5km地点にある志計礼辺山酸性変質帯も,珪化ソーダ明バン石化岩のK-Ar年代によって,これとほぼ同時(2.3Ma)生成である。この酸性変質帯には,露頭がないが,その転石はいずれも白色強珪化デイサイトで,空隙が多く見られる。その空隙の形態は,デイサイトの斑晶長石や角閃石や輝石が強酸性熱水溶液によって溶脱された負仮像を示すので,この珪化岩は溶脱型であり,まれに,その空隙を充填する自然硫黄が観察される。 一方,当別鉱床地域における安山岩岩脈の熱水変質年代も2.3-2.4Maであることが知られている。 これらのデータは,2.4Ma当別低硫化系浅熱水性金銀鉱脈型鉱化作用はおそらく比較的広域的な安山岩質貫入活動に伴われ,また,これとほぼ同時期の2.3Ma志計礼辺山酸性変質作用は比較的局所的な志計礼辺山溶岩のデイサイト質貫入活動に伴われたことを示唆している。
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