本年度は特にN_2およびO_2について、Gaussian94wを用いて、分子内(O-OおよびN-N)および分子間(O-O_2およびN_2-N_2)の精密な分子軌道計算を行なった。その結果、基底関数系として、6-311G(2df)という極めて大規模なものを用いて、ようやく分子間相互作用を半定量的に再現できることが分かった。しかし、さらにN_2およびO液体と固体の状態方程式を定量的に再現するためにはファン=デル=ワールス相互作用を大きくする必要があることも判明した。すなわち、分子間相互作用を表現するためには極めて大きな基底関数が十分ではなく、さらに経験的な補正を必要とするという事実が判明した。 このN_2およびO_2の分子内・分子間相互作用を用いて、ゼオライトへの吸着の分子動力学法シミュレーションおよびモンテカルロ法シミュレーションを行なった結果、吸着等温線を定量的に再現でき、さらにそのミクロな挙動に関して重要な知見が得られた。 次年度では、CO_2、NH_2、CH_4などの多原子分子から、SiO_2系などの超高分子系までに対して、相互作用の決定法を確立して行く。
|