研究概要 |
平成12年度は,平成10〜11年度に行ったロシア沿海州シホテアリン山地の古生代変斑れい岩体及び青色片岩の調査結果のまとめ,およびそこで採集した標本の処理と分析を行った.オフィオライトを含む環日本海地域の岩石に関する総合的な論説を印刷中であり,環太平洋地域で最も古いオフィオライトの一つであるハンカ・オフィオライトについてロシア人と共著の論文も印刷中である.一方国内においては、まず昨年度に簡単に報告した新潟県青海町上路地区の湯ノ谷の蛇紋岩メランジ中のエクロジャイトと青色片岩について,2000年5月の地質学雑誌に詳しく報告した.大江山オフィオライトの年代について,新しい年代測定値を加えて地質学雑誌の2000年9月号に報告した.昨年度に夜久野オフィオライトから発見したトロクトライトについて,及び群馬県の第三系礫岩に多量に含まれる上越帯起源の青色片岩礫について,2000年9月の日本地質学会年会(島根大学)で報告した.一方,北部北上帯の緑色岩については,土谷他(1999)が岩手県内のものについて海洋島アルカリ玄武岩を主とすると報告しているが,その北側の青森県内の緑色岩を調査したところ,海洋島ソレイアイトを主とすることが判明して地域的多様性が明らかになり,この結果は岩石鉱物科学に印刷中である.丹波帯の緑色岩についても,昨年度に引き続き付加体の各衝上体下部に存在する緑色岩と、付加体を覆う大規模な石灰岩ナップに伴う緑色岩について研究したが,今年度は福井県小浜市西津地域から,付加体緑色岩としては極めて稀な,島弧玄武岩組成の緑色岩を発見し,これについての論文を執筆中である.本研究は本年度が最終年度であり,上記ようなこれまでの研究結果は,成果報告書として別に提出する.
|