研究概要 |
オルト珪酸塩((Mg,Fe)_2SiO_4)の高圧相βおよびγ相の弾性率の温度変化を改良した球共振測定システムにより測定した.β相については従来の測定温度範囲を超えて570Kまで,また新たに超高圧下で合成したγ相の試料については700Kまで測定した.これらの高圧相は常圧下では準安定ではが高圧相の構造は保たれていた.その結果を用いて地球上部マントルの構成に関する議論を進展させた.これらの弾性率を用いて地球内部400〜600km深に相当する高温下での弾性率すなわち地震波速度の推定には次に述べるYAGの測定で検証した修正ワッチマン式を用いた. 球共振法を地球物質のみならずレーザー光源として実用性の高いYAGの弾性率測定に応用した.温度範囲300〜1200Kで得た精密な測定値についてさらに検討を加えた.この弾性率は温度に対してスムーズに変化し,修正ワッチマン式M=M_0-g・E(θ,T)によって精度よく表現できることを示した.この式からも弾性率の温度変化に関するデバイ温度を求めることができた.その値は比熱からのθ_<th>,音響デバイ温度のθ_<ac>とほぼ同程度の大きさである.この式は相転移を伴わない範囲での弾性率の温度変化の表現として簡単でありかつ有効であることを示した. スピネルMgAl_2O_4の高温での弾性率異常についてさらに検討を加え,西太平洋国際地球科学学会(W.Pacific Geophysics Mtg.AGU主催,開催地東京)などの学会,研究会で発表した.
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