研究概要 |
マントル内660km地震波不連続面は、(Mg,Fe)_2SiO_4スピネルから(Mg,Fe)SiO_3ペロフスカイトと(Mg,Fe)Oへの相変化によると考えられている。平成12年度は、分子動力学(MD)法を用いた計算機シミュレーションにより、上記相変化に伴う密度及びバルク音速変化を660km不連続面を想定した高温高圧下で求め、得られた結果を、それら不連続面における地震波観測データと詳細に比較した。 Mg_2SiO_4スピネル、MgO、MgSiO_3ペロフスカイトのいずれについても、常温常圧から高温高圧に至る広範な温度圧力範囲に渡って、それぞれの実測の構造、弾性定数、及びそれらの温度圧力依存を高精度で再現することに成功した。続いて、660km不連続面を想定した高温高圧下(温度1800〜1900K、圧力23.4GPa)における密度及びバルク音速変化についてのMDの予測値として、それぞれ、8.4%、3.6%を得た。 660km不連続面における、密度及びバルク音速変化についての地震波観測データは、用いるデータの種類、解析手段の違いによりかなりの差が存在する。660km不連続面での可能な鉱物組成として、pyrolite組成あるいはpiclogite組成を考た。その結果、今回のMD計算は、Shearer and Flanagan(1999)の地震波モデルと極めて調和的であることを見出した。
|