炭酸塩試料中の炭素及び酸素の同位体比を観察しながら分析することができるように、レーザープローブ法を開発するのが本研究の目的であるが、そのために以下の研究を行った。 レーザー反応ラインの製作 ヘリウムガスの通流、レーザー光照射による二酸化炭素放出反応、生成ガスの捕集、生成ガスから二酸化炭素ガスの精製等のための大気圧一真空ラインを製作した(ターボ分子ポンプ、ピラニ真空ゲージを使用)。CO2の精製には液体窒素トラップとn-ペンタントラップを用いて不純物を分離した。 効率良く反応させた試料から瞬時に生成二酸化炭素ガスなどを集めることができるように液体窒素冷却管を内臓した試料反応チャンバーを作成した。この反応チャンバーはレーザー光を効率良く透過する石英窓を有する。反応時の様子を現有のCCDカメラでモニターできるようにした。 同位体比スタンダードの作成 同位体的に均一なスタンダードを主にNaCl等と混合した粉末炭酸塩試料を固めペレットすることにより作成した。 同位体比精度のチェック 確度については補正できるため、精度は確度に優先して重要であると考えられる。従来のレーザープローブ法の問題点は同位体比の精度の悪さであるが、冷却した反応部分との再結合反応が最も可能性の高い原因と考えて、反応チャンバー内に設置した冷却管に液体窒素の通流の有無が同位体比に与える影響を現在調査中である。その際に、レーザーのパワー、レーザー照射時のヘリウムガス通流速度、液体窒素冷却管に液体窒素を流すかどうか、また液体窒素冷却管と反応試料の相対位置などの可変条件が、同位体比の精度に与える影響を調べている。
|