炭酸塩試料中の炭素及び酸素の同位体比を観察しながら分析することができるように、レーザープローブ法を開発するのが本研究の目的である。初年度に製作した装置を用いて、引き続き次の検討を行った。 1.炭酸カルシウム+NaClペレットの有用性の検討 炭酸カルシウムのみで作ったペレットでは強度的に弱く、レーザー照射の際にチッピングが起きる。この問題を解決するために、炭酸カルシウムに塩化ナトリウムを混ぜてペレットとした。しかし、レーザー照射時に未知の気体を発生し、同位体分析を妨害することが判明した。精製法を試みたがその不純物を再現性良く分離することができなかった。そこで、ペレットとしては強度的に不満が残るものの、炭酸カルシウムのみから成るペレットを、また、同位体比の不均一の点で不満が残るもののサンゴ試料を使い分けて、標準として用いることにした。 2.遊離した二酸化炭素の再結合反応の確認 レーザー照射間隔を変えることによって収量が変化した。照射間隔が短い程、収量が増加した。これは再結合反応が起こっていることを示している。また、レーザーパワーによる収量の変化を調べた。パワーの増加に従い収量も増加するが、増加幅はパワーの増加につれ小さくなった。ほとんど一定値を示したパワーを最適パワーとした。照射窓の外面に水蒸気が凝結したため、冷却管を使用することによって、収量が減少した。 3.同位体比測定 同位体比測定の際に質量分析計が故障し、諸条件の同位体比に与える影響は検討することができなかった。
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