理論的解析 交流磁場によるゼーマン効果により発光の波数に変調が加えられたとき、それを復調し多数回積算後得られるスペクトルについて理論的解析を行った。その結果得られるインターフェログラムは変調がない場合のものに変調による波数シフトと光路差をパラメータに含む一次のベッセル関数を掛けたものになることがわかった。そしてこれをフーリエ変換するとスペクトル線形が一次微分形になることがわかった。 測定 20Hzの周波数で500Gの交流磁場を発生するソレノイドコイルおよびスイッチング回路を製作した。このソレノイドコイルを装備した吸収セルを製作しNOの赤外吸収スペクトルを波数分解能0.005cm^<-1>で測定した。NOは不対電子を持ちゼーマン効果を示すので本方法により選択的に測定できることが期待され、実際の測定においても理論予想の通りの結果が得られた。 結論 従来はラピッドスキャン方式の連続掃引型フーリエ変換分光器を用いて、20Hzの周波数でゼーマン変調を行なうことは原理的に不可能であると考えられていたが、本研究はそれが理論的および実験的に可能であることを示した。
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