研究概要 |
(1) NOの4s,4p,4d,5s,5p Rydberg状態をA状態を中間状態とする二段階励起によって量子状態選択的に生成し、自然放射増幅光(ASE)の帰属を行うことによってこれら準位からの放射緩和過程の道筋についての知見を得た。 (2) ASE発振がレーザーパルス幅内で完了し、ある準位に集中的に遷移する光学過程であることを利用し、ASEによって緩和した準位を中間状態とする新規なレーザー分光法を開発した。具体的には、基底状態からA状態を経由する二段階励起によってE状態を生成する。E状態は、ASE緩和によって自動的にそのpopulationの一部をD状態に移動する。D状態から第三のレーザーによって高Rydberg状態(6s,7s)への励起を行い、上準位からのASEを解析することにより、前期解離準位からの放射緩和過程の道筋について詳細に検討することができた。 (3) ASE発振には反転分布が不可欠であることを利用し、ASE遷移の下準位にpopulationを置くことにより、つまり反転分布をON/OFFすることにより励起状態からの発光を制御する方法を開発した。具体的にはM状態の単一回転単位を二段階励起法によって生成すると、E状態へPおよびR枝でASE緩和する。この際、P枝での行き先準位をあらかじめレーザーによってPopulateしておくと、反転分布が形成されずP枝のみが消失することが予想される。実際、P枝はほぼ完全に消失し、またR枝の強度がP枝の減少を補う程度に増大することが確かめられた。本実験は、二つの競合するASE遷移のうち一方のみを優先的に起こすことができることを実証している。
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