研究概要 |
一酸化窒素の高Rydberg状態からの自然放射増幅光の特牲について詳細に研究した。3dおよびnf(n=4,5,6)Rydberg状態をA状態を中間状態とする二重共鳴法によって励起後、レーザー同軸上に発生する自然放射増幅光(ASE)を赤外領域で分光し、緩和過程、偏光特性、および検出感度などについて考察した。 1 3dHH'状態からC,D状態へのASEの回転解析を完了した。またこのASEの偏光特牲を測定した。一方、二重共鳴法によって到達する上準位のanisotoropyを計算したところ、実測値を矛眉なく説明できた。 2 4f,5f(v=0)からの主要なASE緩和経路は、それぞれ3d,4d(v=0)Rydberg状態である。6f(v=0)からは5dへの遷移に加えて、5g(v=0)ヘの新しい経路が開けていることがわかった。イオン化限界より上に位置する自動イオン化状態である7f(v=1)からのASEを観測することに成功した。また蛍光量子収率が10^<-3>程度であれば本分光法が応用可能であることが示された。 一酸化炭素のB(v=0)からのASEを、同じ波長のASEをシード光として導入することによって増幅することに成功した。二つのセル(メインセルとシードセル)を直列に並べ、それぞれに230nmの紫外レーザー光を集光するとB(v=0)を生成し、A(v=2)および(v=3)へASE緩和する。B-A(0,3)に対応する560nmだけをシードセルから取り出し、メインセル中に導入する。このときB-A(0,2)に対応する520nmの出力光強度には変化がないのに対し、560nmの出力光は約十倍に増幅された。この事実はメインセルが外部信号に対する増幅器として作用し、微弱なシード光によって励起状態間のpopulationの流れを操作できたことに対応している。
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