研究概要 |
有機硫黄化合物が示す特性のうち、以下の不斉誘起反応を有機合成に使用出来るレベルにまで向上することを目的として、 1)プロキラルなエノラート類のエナンチオ面選択的プロトン化の検討とその応用、 2)エピスルホニウムを経由する不斉ポリエン閉環反応、を検討してきた。平成11年度の本研究では以下の実績を上げることができた。 ◎プロキラルなエノラート頻のエナンチオ面選択的プロトン化の検討とその応用:我々は光学活性β一ケトスルホキシドより容易に導くことが出来るヒドロキシスルホキシドが既存の不斉プロトン化剤のなかで最高の強力な不斉職能を有することを見い出しているが、今回、不斉プロトン化のみならず、ハロゲン化アルキルとのアルキル化に関しても.有効に働くことが判明し現在その一般性を検討している。これまで不斉アルキル化に関してのエナンチオ面識別による方法は未開拓の分野でこれからの発展が期待される。これらの結果についてThe 19th International Conference on the Organic Chemistry of Sulfur(Sheffield,UK),日化第78春季年会(船橋)で発表する。 ◎エピスルホニウムを経由する不斉ポリニン閉環反応:光学活性β-ケトスルホキシドより導かれる光学活性α-ヒドロキシスルフィドを出発物質としてポリエン閉環反応に関して閉環反応腹構の解明と本反応の応用として抗腫瘍活性を有する化合物の不斉合成の完成し、更に末端がモノ置換の系でも閉環反応が可能であることを立証し、本法が他方に比して優れていることを示した。これらは日化第77秋季年会(札幌)で発表した。
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