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1999 年度 実績報告書

ケテン科学の革新

研究課題

研究課題/領域番号 10640510
研究機関埼玉大学

研究代表者

町口 孝久  埼玉大学, 理学部, 教授 (00008864)

研究分担者 山辺 信一  奈良教育大学, 教育学部, 教授 (00109117)
長谷川 登志夫  埼玉大学, 理学部, 助教授 (00237976)
キーワードケテン / ジエン / シクロプタノン / 分子軌道理論
研究概要

我々は,ジフェニルケテンとシクロペンタジエンとの反応について検討した結果,新しい概念として「ケテンはジエンを認識する」ことを得た。この概念が,一般的なことであることを明らかにするため,ジエン類(環状のジエンおよび鎖状のジエン)とジフェニルケテンとの反応を検討した。前年度までに,鎖状のジエンの場合においても,従来の反応例で得られるところのシクロブタノン体([2+2]付加生成物)は中間体であり,最終生成物は[4+2]付加生成物であることが判明している。ジエン類とジフェニルケテンとの反応において何故,このような大きな誤りが生じたのか,その原因を探りケテンとジエンの反応機構解の最終的解明をおこなった。さらに,これらの得られた結果をもとに,反応性について最新の分子軌道理論によって吟味検討し,各素過程の遷移状態構造決定を行ない,非経験的分子軌道法により精度高い活性化エネルギーの評価を行った。これらの検討によって,「ケテンは不飽和系を区別して反応する」という,真のケテン類と共役不飽和化合物との反応についての考え方を提案することができた。すなわち,ケテンのC=O結合を通してジエン認識をし[4+2]型の環化付加反応が進行する。続いてクライゼン転位が起こる。ケテン-ジエン反応はこれら二つの協奏反応の組み合わせ2段階反応機構であることが判明した。さらに,鎖状のジエンに対するケテンの反応挙動についての検討からケテンはs-Cisジエンのみを認識して反応することを明かにした。以上の研究結果について,本年度すでに学会誌にて公表ずみである。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] T. Minato: "Tropone versus Tropothione. Theoritical and Experimental Analyses of Cycloaddition with Maleic Anhydride"J. Mol. Struct.. 461-462. 359-377 (1999)

  • [文献書誌] S. Yamazaki: "Chiral Synthesis of Cyclopropanes. Stereoselective [2+1]Cycloaddition Reactions of 1-Seleno-2-silylethenes with di cerboxylates"J. Org. Chem.. 64. 2367-2374 (1999)

  • [文献書誌] S. Yamabe: "Theoretical Study of Mutarotation of Glucose"J. Org. Chem.. 64. 4519-4524 (1999)

  • [文献書誌] S. Yamabe: "Frontier-orbital analyses of ketene [2+2] cycloadditions"Theor. Chem. Acc.. 102. 139-146 (1999)

  • [文献書誌] S. Okumoto: "Theoretical Study on the Mechanism of Formation of Cyanate Resins"J. Org. Chem.. 64. 4742-4748 (1999)

  • [文献書誌] T. Machiguchi: "Ketene recognizes 1,3-dienes in their s-cis forms through [4+2] (Diels-Alder) and [2+2] (Staudinger) reactions. An innovation of ketene chemistry"J. Am. Chem. Soc.. 121. 4771-4786 (1999)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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