研究概要 |
1. ピラノース型ホスファ糖の新規合成法の開発: ピラノース型のホスファ糖の合成原料となる立体配置の異なるhexofuranose 5-ulose誘導体に、塩基存在下、dimethyl phosphonateを付加させ、生じた5-hydroxy-5-phosphinyl誘導体の脱ヒドロキシル化を種々の条件を用いて行い、生成物の立体選択性を調査した。基質の立体配置と反応の選択性から、D-グルコース型ホスファ糖合成には有効であるが、D-マンノース型ホスファ糖には適さないことがわかった。 2. D-ガラクトース型ホスファ糖の合成: 上述のC-P結合導入法を用いて、初めてD-ガラクトース型ホスファ糖の合成に成功した。現在、ステップ数の短い、効率のよい合成経路を検討中である。 3. D-マンノサミン型ホスファ糖の合成: 5-deoxy-5-dimethoxyphosphinyl-1,2-O-isopropylidene-α-D-glucopfuranose誘導体から数ステップの官能基変換により、methyl 2-acetamido-2,5-dideoxy-5-phoshinyl-β-D-mannofuranoside誘導体に変換した。これを前駆体として、D-マンノサミン型のホスファ糖の合成に成功した。 4. ホスファ糖の旋光度及びNMRの結合定数とリン原子の立体配置に関する研究: 今まで合成してきたホスファ糖の比旋光度及びNMRの結合定数を系統的に調査し、リン原子の立体配置との関連性や、リン官能基の効果などを調べた。NMRデータからは、ホスファ糖のリン原子の立体配置が、^1H-^1H間のビシナル結合定数より予測できる経験則を求めることに成功した。
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