エポチロンの不斉全合成をキラルオキサザボロリジノン助触媒不斉アルドール反応を基盤とした戦略で達成させる課題に対して、研究が行われた。はじめに特に不斉炭素が集約されて存在するカルボキシル基末端からのC1-C9フラグメントの不斉合成を検討した。われわれの手法で最初の立体中心は高度に制御されて98%eeの不斉収率で導入された。しかしながらかさ高い4級の炭素をもつアルデヒドに関するわれわれの不斉アルドール反応はどのような条件を検討しても、期待する立体化学の構築に成功しなかった(Tetrahedron Lett.1999)。しかしながら、この研究からキラルオキサザボロリジノン助触媒不斉アルドール反応の適応限界を確定することができた。C6-C7の立体選択的な結合生成は、SchinzerらによるLDAを用いて達成することに変更し、そのために必要なキラルケトンの不斉合成に成功した。また、複素環側からの不斉合成を検討し、はじめて不斉アルドール反応で期待する立体中心の導入に成功している。現在、継続して鎖の延長を検討している。一方、3置換エポキシドの不斉アルドール戦略での合成も確立した(Tetrahedron Lett.1999)。期間内には、全合成に至らなかったが、近い将来それを完成の予定である。
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