研究概要 |
本年度の「立体因子で制御される不斉なフォトクロミズム系の構築」に関する成果は,以下の通りである。 1. C_2対象をもつビスチエルフルギドのジアステレオ選択的フォトクロミズム Pd触媒を用て合成できる,C_2対称性をもつビスチエニルフルギドがジアステレオ選択的フォトクロミズムを示す理由を計算により明らかにした。この結果は,1999年5月の第37回有機合成化学協会関東支部シンポジウム(八王子)で発表する予定である。 2. ビナフトール縮合ジアリール無水マレイン酸の合 ビスチエニル無水マレイン酸のカルボニル基に(R)-フトールを縮合した化合物は,ジアステレオ選択的なフォトクロミズムを示す可能性がある。この化合物がどのような選択性を示すかを,計算により明らかにした。 3. 架橋ジアリールエテンの合 インドリル基とベンゾチエニル基をもつパーフルオロシクロペンテンのインドール1位とベンゾチオフエン2位を架橋し,ラセミ化を押さえた化合物の合成を検討しているが,まだ合成できていない。 4. クラウン鎖架橋ジアリールエテンの合成研究 ビス(5-ヒドロキシメチル-2-メチル)チエニルパーフルオロシクロペンテンをオリゴ(エチレンオキシ)鎖で架橋した化合物は,ジアステレオ選択的なフォトクロミズムを示し,エナンチオ選択的な分子認識能力をフォトクロミック反応に伴って変化させる可能性があるが,まだ合成できていない。 5. スピロピランのトリカルボニルクロム鎖体の合 トリカルボニルクロムにフォトクロミック化合物の芳香環が配意した化合物はジアステレオ選択的なフォトクロミズムを示す可能性がある。インドリノスピロピランの錯体を合成し,現在ジアステレオ選択的フォトクロミック反応を検討している。
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