研究概要 |
固体内および水溶液内に溶存する化学種の化学状態の解明にXANES(X-ray AbsbrptionNear-Edge Structure)を適用することを目的とする。XANESは物質中の目的原子の周りの局所構造および化学状態に敏感である。ピークの帰属と解析を行うためには,第1原理に基づく理論計算が必要である。本研究では,L@@S12@@E1法に基づいた第1原理DV-Xα分子軌道法によって理論スペクトルを求めている。クラスタ・モデルで近似した固体および水溶液中化学種のX線の吸収スペクトルを待ている。 固体や溶液に適用するためには,広い空間にわたる電荷密度分布のセルフコンシルテンシーが必要で,その効率良い計算法を探った。従来法と異なり,バラメーターを変えてもスペクトルの変動がわずかである方法を採用している。吸収スペクトルに必要な連続状態を記述するために,空間的に限定された,原子の連続波動関数を基底関数,に加えた方法で.今回の対象の系においてもピーク位置は安定して得られた。 本年の研究では,結晶中の局所構造に注目した。K@@S22@@E2SO@@S24@@E2,Na@@S22@@E2SO@@S24@@E2およびNa@@S22@@E2SO@@S23@@E2の硫黄K吸収の理論および実験スペクトルを比較している。スペクトルはAdvanced Light Source(ALS)で得られた。硫黄酸素酸イオンの最近接原子である酸素の位置・角度に敏感にスペクトルが変化し,理論スペクトルはそれを再現している。Na@@S22@@E2SO@@S24@@E2では,疑定常波をXANES波動関数にみつけ,そして次にスペクトル中のピークを,S-OやS-Naなどの原子のペアによる散乱に帰属している。第1と第2近接原子の寄与を明らかにしつつある。また.BaF@@S22@@E2固体の理論スベクトルが.多数のピークをもち.実験スペクトルに合うことを明らかにした。
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