研究概要 |
平成10年度の交付申請書に従って、置換金属イオンによる多中心活性部位を含む新しい修飾へテロポリ酸塩の分子設計と合成を行い、以下のような新しい知見・成果を得た。 1. ニオブ(V)三個を位置選択的にKeggin型ポリ酸塩骨格中に置換した修飾ポリ酸塩のアルカリ金属塩M_7[SiW_9Nb_3O_<40>]-zH_2O(M=Li,Na,K,Cs)について、結晶化およびX線構造解析を前提にした分子設計を行った。 2. これらのアルカリ金属塩について、全元素分析、熱分析(TG/DTA)、FABMSスペクトル、FT-IR、溶液中の^<183>WNMRおよび^<29>SiNMRおよび固体状態の^<29>SiNMRスペクトルによるキャラクタリゼーションを行った。 3.このポリ酸塩の相手カチオンに依存する性質、すなわち熱的安定性、永和水分子の数、溶解性、結晶化の容易さなどを明らかにした。 4. 以上の結果は学術雑誌に論文として掲載された。 5. 相手カチオンがK^+イオンの化合物について、単結晶X線回折による構造解析を行うことができた。 6. チタン(IV)三個を位置選択的にDawson型のポリ酸塩骨格中に置換した修飾ポリ酸塩の分子設計を行い結晶化可能なpureな化合物K_7H_5[P_2W_<15>Ti_3O_<62>]・11H_2Oを得ることができた。この化合物は全元素分析、TG/DTA、FT-IR、UV-vis、溶液中の^<31>Pおよび^<183>WNMR、固体状態の^<31>PNMRによりキャラクタリゼーションした。以上の結果は投稿原稿にまとめることができた。 7. バナジウム(V)を位置選択的にKeggin型およびDawson型ポリ酸塩骨格中に置換した種々の修飾ポリ酸塩について、ベンゼン酸化反応に対する触媒作用を調べた。
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