微粒子が安定分散するための様々な条件を定量的・溶液構造的に解明するため、1)粒子表面間相互作用のAFM的直接測定、2)溶液中の微粒子分散構造のCryo-TEM的評価、3)粒子間相互作用に関与するイオンの吸着・分配のNMR的研究と4)微粒子相互作用による分散溶液のレオロジー的研究が行われている。1)では溶液中の無機、有機、生体表面について相互作用が評価され、いずれの表面でも長距離力として電気二重層静電反撥力が常に作用しており、その作用力は、有機と無機表面系で、比較的低濃度であれば界面活性剤対イオンを含む対イオン種に殆ど支配されない。2)と3)では微粒子の分散は単純分散型と二次構造形成型に分かれ、それを支配する因子は粒子表面の極く近傍で働く、AFM表面間力的には検出しにくい、短距離力に原因があるらしい。4)二次構造形成型粒子分散溶液系は異常な粘弾性を示す事が多い。その粘弾性挙動は可逆的と不可逆的に形成された場合の二次構造体によって明らかな違いがあり、それには短距離的引力の強さを支配する対イオン結合力の差に原因があるらしい。以上、これまでの単純分散系の結果を基に、微粒子分散系の安定性を支配する諸因子が濃厚分散系や混合分散系でも同様に説明されるか否かについて、表面間力法を中心に研究を進めている。
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