研究概要 |
1)N-アルキルフラン-2-カルボキシアニリド(1)の不斉光反応 光学活性なホストと1との包接結晶に光照射すると、光学活性なトランスージヒドロフラン誘導体が得られた。包接結晶中でのN-アリルフラン-2-カルボキシアニリドの不斉反応機構は、包接結晶のX線結晶構造解析及びCDスペクトルにより検討した。光学活性ホストと1の包接結晶の調製法によって、その光反応生成物のキラリティーの逆転が見られた。 2)N-メチル-N-フェニル-3-アミノ-2-シクロヘキセ-1-オン誘導体(2)の不斉光反応 光学活性なホストと2の1:1包接結晶は、プリズム晶と針状晶の二種類が得られた。針状晶は固相で100時間光照射しても反応しなかった。プリズム晶は固相で19時間光照射すると、87%eeの(+)-N-メチルヘキサヒドロ-4-カルバゾロンが54%の収率で得られた。この2種類の結晶のX線結晶構造解析を行った。プリズム晶の方が針状晶より反応部位であるフェニル基とシクロヘキセノン環の二重結合がより近づいた構造をとっていた。 3)N,N-ジメチルフェニルグリオキシルオキソアミド(3)の不斉光反応、 3と光学活性ホストの再結晶法による包接結晶に光照射すると(-)-β-ラクタム誘導体が得られるが、3と光学活性ホストの固相混合法による包接結晶に光照射すると(+)-β-ラクタム誘導体が得られた。固相混合法による包接結晶を融点以下で加熱することで再結晶法と同じ包接結晶が得られた。 4)光学活性ホストとの包接化による炭化水素およびsec-アルコールの光学分割 光学活性ホストとの包接化による炭化水素およびsec-アルコールの光学分割を行い、それぞれ光学活性な炭化水素およびもec-アルコールが得られた。 5)無溶媒有機合成法の開発 無溶媒でエステルのけん化、ロビンソン環化反応、およびファボルスキー反応が能率よく進行した。
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