研究概要 |
1.単分散コロイダルシリカ微粒子のポリマー-シランカップリング剤による表面装飾 無水マレイン酸とスチレンの共重合体シランカップリング剤によるコロイダルシリカ微粒子の修飾において、これらの試剤は低極性溶媒中でトリメチルシリル基を表面に向けて吸着し、その状態で効率よい縮合反応が起こることが明らかになった。 2.二次ポリマー鎖の結合と表面構造の解析 無水マレイン酸-スチレンの共重合体-修飾シリカ粒子へアミノ基を末端にもつポリマーを結合させ、低極性溶媒中でも分散する複合粒子の調製に成功した。この複合粒子の表面構造を固体^<29>Si,^<13>C-NMR法によって解析した結果、ポリマーは4種類のシロキサン結合を介してシリカ粒子表面へ結合していることが明らかになった。 3.複合シリカ粒子間の相互作用による凝集現象とコロイド結晶の形成 二段修飾法で調製した複合シリカ粒子は、二次ポリマー鎖に対して良溶媒を多く含む溶液中では、溶媒和したポリマー鎖の排除体積効果によって分散し、貧溶媒を多く含む溶液中では粒子の凝集-分散現象は不溶性二次ポリマー鎖間の相互作用と静電的反発の兼ね合いによって支配された。単分散な複合シリカ粒子を有機溶媒中へ分散させると、修飾ポリマー鎖を溶解する溶媒中において粒子間静電反発に基づくコロイド結晶が形成した。 4.複合シリカ粒子表面と基質分子間相互作用の評価 複合粒子表面ポリマー鎖と溶液中に溶解した基質分子間の弱い相互作用をNMR法によるスピン-スピン緩和時間によって評価した。粒子表面ポリマー鎖へ吸着した極性基質分子の緩和時間は、重水素溶媒の極性が低くなるほど短くなり、この方法が弱い相互作用の評価として有用であることなどが明らかになった。これらの結果から、本研究で開発したシリカ複合粒子のケミカルライブラリーへの応用が充分期待されることが示唆された。
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