光電流を獲得する湿式太陽電池では、高活性のTiO_2薄膜透明導電性ガラス(TCO)を作成することが重要なポイントである。従来導電性ガラス基板上にペースト状TiO_2微粒子を塗布し、400℃の電気炉で焼結したが、膜表面の構造が不規則(膜厚や比表面積の制御が困難)で、クラックや斑が生じ、さらに物理吸着しているため、溶液の攪拌によりTiO_2の剥離が起こり、実用化レベルには至らなかった。これらの欠点を改良するために、次の方法によって薄膜を作成した。(1)スピンコーティング・ゾルゲル法、(2)デイプコーティング・ゾルゲル法、(3)MOCVD法、および(4)パルスレーザー気相法の方法で作成した。特に、(4)レーザー気相法はTCO導電性ガラスをセットした光反応容器に四塩化チタン(TiCl_4)ヤ水素(H_2)、酸素(O_2)のガスを導入してCO_2パルスレーザーによりブレークダウン(誘電破壊)させ、TiO_2をTCO基板上に生成する方法である。この方式は高純度な均一薄膜で平坦な表面の基板が作成でき、H_2分圧とO_2の分圧の割合により高純度のアナターゼ型基板が作成できた。その結晶構造の結晶格子がTEMで観察すると、典型的なモアレパターンが認められた。パルスレーザー法でTiCl_4が10torrでH_2とO_2ガスが等モルの条件下で、98%アナターゼ結晶(粒径120nm)が固定化したTiO_2薄膜電極を作成した。これを作用電極にし、対極をPt電極で構成し、陰イオン界面活性剤DBSを用いて分解反応をさせたところ、2.3mAの最大光電流が取得できた。各種界面活性剤の他に、アミノ酸、糖類および水溶性有機化合物の光分解に伴う光電流発生について検討した。
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