研究概要 |
ビス(ハプト5-シクロペンタジエニル)ジルコナシクロペンタジエンは一般的に安定であり、反応性は他のジルコナサイクルに比べて低い。本研究では、ジルコナシクロペンタジエンから誘導されるカチオン性のジルコニウム錯体を合成し、その反応性を比較検討することを目的とした。 ジルコナシクロペンタンおよびジルコナシクロペンテンは一酸化炭素と容易に反応しジルコニウムがカルボニルに置換された生成物を高収率で与える。それに対し、ジルコナシクロペンタジエンは通常の穏和な条件では一酸化炭素と反応しない。そこで、テトラヒドロフラン中調製したジルコナシクロペンタジエンにノルマルブチルリチウムを反応させ、次いで一酸化炭素をガスで導入したところ、反応が-78℃で速やかに進行し1時間後酸処理した結果シクロペンテノンが高収率で得られてきた。この一酸化炭素との反応の中間体をNMRで観測したところ、シクロペンタジエニルオキシジルコニウム錯体であることがわかった。テトラエチルジルコナシクロペンタジエンから2,3,4,5-テトラエチル-2-シクロペンテノンがGC収率88%、単離収率75%、テトラフェニルジルコナシクロペンタジエンから2,3,4,5-テトラフェニル-2-シクロペンテノンが単離収率89%で得られた。非対称な2,3-ジエチル-4,5-ジフェニルジルコナシクロペンタジエンの場合、同条件下で反応を行なった結果、選択的に、2,3-ジエチル-4,5-ジフェニル-2-シクロペンテノシが生成し、4,5-ジエチル-2,3-ジフェニル-2-シクロペンテノシの生成は認められなかった。その他、ジルコナインデン誘導体からも、対応するインダノンがよい収率で生成した。
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