ジルコニウムのカチオン種を利用した新しい反応の開発を行うため、まずターゲットとするジルコニウム錯体の合成を行った。2位の炭素に脱離基である塩素を持つジエンをジルコノセンジブチルと反応させ環化させた。この反応ではジエン部分がまず反応して、環化生成物であるジルコナシクロペンタンを与える。初めに2位の位置に結合していた塩素が、この環化生成物であるジルコナシクロペンタン上のβ-位に位置するため、ジルコナサイクルからの脱離が進行して、二重結合となり、塩素はジルコニウム上に移動して、環状部位をもつアルキルジルコノセンクロリドが収率よく生成した。この環状部位をもつアルキルジルコノセンクロリドにメチルアルモキサン(MAO)を加え、フェニルアセチレンを等モル加えて反応をさせるとアルキルジルコノセンにアセチレンが挿入した生成物を得るという新しい反応の開発に成功した。
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