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1999 年度 実績報告書

異常構造を有するカルベンの創製とその性質

研究課題

研究課題/領域番号 10640577
研究機関三重大学

研究代表者

高橋 康丈  三重大学, 工学部, 助教授 (70197185)

キーワード光異性化 / カルベン / シクロブチリデン / シグマトロピー転位 / 置換基効果 / メチリデンシクロプロパン
研究概要

ジフェニルメチリデンシクロプロパン1は溶液中2,2-ジフェニルメチリデンシクロプロパン2へと光異性化することが報告されていたが、その反応機構に関しては全く不明であった。本研究では、この光反応の副生成物として3,3-ジフェニルシクロブテン3が得られてくることや、酸素存在下では2,2-ジフェニルシクロブタノン4も副成することを新たに見い出した。これらの副生成物は、1の光1,2-炭素シフトによって発生した2,2-ジフェニルシクロブチリデン5から2の生成と競争して生成すると考えるのが最も妥当である。実際、シクロブタノン4のトシルヒドラゾンナトリウム塩を光分解してシクロブチリデン5を発生させた時にもシクロプロパン2と共にシクロブタノン4やシクロブテン3が副成してくることを確認した。
さらにメチリデンシクロプロパン1の光反応の置換基の効果も検討した。その結果、1の4,4'-ジメトキシ置換体1bの2bへの光異性化は1aに比べて遅いが、4,4'-ジクロロ置換体1cの光反応は逆に1aより効率良く進行することがわかった。この現象は、中間体シクロブチリデン5の1や2への骨格転位が、カルベン中心への求核的な1,2-炭素移動で起こっていることを考えれば合理的に説明できる。すなわち、2,2-ジアリールシクロブチリデン5が環縮小反応して1に戻る経路と2をあたえる経路を考えた場合、1を与える経路のほうがフェニル基の電子供与的安定化効果のため、より進行しやすいことがわかる。フェニル基のパラ位に電子供与基が導入されれば、さらに1を与え易くなり、5は1にもどりやすくなるため、みかけ上2への異性化の効率はおちる。これに対し、電子吸引基が置換すると5から1への転位速度は低下してくるため、相対的に2への異性化の効率は上がってくる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Y.Takahashi: "Mechanistic Studies of the Azomethine Ylide-Forming Photoreactions of N-(Silylmethyl)phthalimides and N-Phthaloylglycine"J.Am.Chem.Soc.. 121. 5180-5184 (1999)

  • [文献書誌] T.Niwa: "Effects of Molecular Charge on Photoinduced Electron-Transfer Reactions"J.Am.Chem.Soc.. 121. 7211-7219 (1999)

  • [文献書誌] H.Ikeda: "Photoinduced Electron-Transfer Cope Rearrangements of 3,6-Diaryl-2,6-octadienesand 2,5-Diaryl-3,4-dimethyl-1,5-hexadienes : Stereospecificity and an Unusual Cope Rearrangement Accompanying the Bicyclo[2.2.2]hexane Derivatives"J.Org.Chem.. 64. 1640-1649 (1999)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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