研究概要 |
キラルなアミン類の合成法として、N-弛緩イミンへのシアン化トリメチルシリルによる不斉付加反応を検討した。まずアルデヒドの不斉シアノ化反応で有効であった光学活性シッフ塩基-チタン錯体を用いて検討した。化学収率については良好な結果を与えたが、不斉収率については20%程度と満足な結果が得られなかった。そこで次に、シッフ塩基以外の光学活性グリコールとして、ビナフトールなどのキラルチタン触媒を検討したが、やはり低い不斉収率しか得られなかった。イミンの不斉付加反応に関しては、光学活性チタン触媒では満足すべき結果が得られなかったので、光学活性ホスフィン-カチオン性パラジウム錯体の検討を行った。系中で調製したカチオン性パラジウム-BINAP錯体および単離した錯体を用いて反応を行ったところ、触媒活性は高いもののいずれも、高い不斉収率を得るには至らなかった。そこで、イミンへの不斉付加以外の反応として不斉アリリックアミノ化反応の検討を行うこととした。そのために、従来にない新しいタイプのP,N-2座配位子の設計と合成を行った。この配位子の有効性を調べるため、そのパラジウム錯体を用いてアルキル化反応を検討したところ、80%eeを超える不斉収率でアリル化生成物が得られた。現在、アミノ化を検討中である。
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