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1998 年度 実績報告書

アドミセル分離媒体の新合成と微量計測工学への応用

研究課題

研究課題/領域番号 10640590
研究機関名古屋大学

研究代表者

平出 正孝  名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20111833)

研究分担者 田中 智一  名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40236609)
キーワード分離濃縮 / 吸着 / 水分析 / アドミセル / ドデシル硫酸ナトリウム / アルミナ / ジチゾン / ICP-MS
研究概要

精度・正確さともに優れた信頼性の高い計測値を得るには,目的微量元素を濃縮し,同時に計測を妨害する共存物質を十分に除去することが必要である。本研究は,固相上に静電的に結合させた界面活性剤ミセル(アドミセル)を微量計測工学の観点から研究し,アドミセルを新しい分離媒体として開発・実用化しようとするものである。(1)アドミセルの疎水性領域に予めキレート試薬を捕捉させこれに水中の目的微量元素を捕らえさせる方法,及び(2)水中の目的微量元素を予め疎水性キレートに変換したのちアドミセルに捕捉する方法につき系統的に研究を進めているが,本年度は主として方法(1)につき検討を行った。担体固相としてアルミナ粒子,界面活性剤としてドデシル硫酸ナトリウム(SDS),キレート試薬としてジチゾンを選択し,機能性アドミセルを調製した。即ち,ジチゾンとSDSのアンモニア溶液をアルミナ懸濁液に添加し,かき混ぜながらpH2にすると,アルミナ粒子表面は正に帯電し,陰イオン界面活性剤のSDSを強く吸着してジチゾン含有アドミセルを形成した。この際,SDS中の不純物元素(Cu,Pb)がアドミセル内部に混入してくるが,4M硝酸で洗浄することにより容易に精製することができた。ジチゾン含有アドミセルにより水中のppbレベルのCu(pH2〜9),Pb(pH3〜9),Co,Ni,Cd(pH4〜9)が完全に吸着捕集できた。吸着率に及ぼすpHの影響は,従来のジチゾン・クロロホルム抽出と類似しているが,アドミセルのほうがより低いpHから回収できた。吸着した元素は4m硝酸で脱着できるが,Coは安定な錯体形成のため脱着率は70〜80%であった。なおアドミセルは酸処理に安定であり,少なくとも3回の再利用が可能であった。本吸着法とICP-質量分析法とを組み合わせ,保証値付きの海水試料(National Research Council Canada,CASS-3)の分析に適用し,満足すべき結果を得た。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Masataka Hiraide: "Removal of Gallium Carrier at Pre-Atomizing Stage for Minimizing Background Absorption in the AAS Determination of Cd" Analytical Sciences. 14(2). 429-430 (1998)

  • [文献書誌] Masataka Hiraide: "Collection of Trace Heavy Metals on Dithizone-Impregnated Admicelles for Water Analysis" Analytical Sciences. 14(6). 1085-1088 (1998)

  • [文献書誌] 平出正孝: "分離・分取法の基礎知識“浮選"" ぶんせき. 1998(3). 156-163 (1998)

  • [文献書誌] Masataka Hiraide: "Separation of Copper(II) Ions from Humic Complexes with Oxine-Impregnated Emulsion Globules" Fresenius' Journal of Analytical Chemistry. 363. 261-264 (1999)

  • [文献書誌] 田中智一: "水冷トーチを用いる減圧ヘリウム誘導結合プラズマ質量分析法" 分析化学. 48(3). 389-392 (1999)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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