研究課題/領域番号 |
10640596
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
松原 チヨ 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (10057309)
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研究分担者 |
櫻井 照明 東京薬科大学, 生命科学部, 助手 (30266902)
齋藤 徹 東京薬科大学, 生命科学部, 講師 (40186945)
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キーワード | 温度感応性高分子 / リポ多糖 / 脂溶性毒物 / 菌体培養液 / 生体関連試料 / 分離・濃縮 / 疎水性 |
研究概要 |
微生物や動植物が産生するタンパク質やホルモン溶液あるいは血清などに含まれ、ショック症状を引き起こす有毒性リポ多糖であるエンドトキシンを簡易迅速かつ高効率に除去する方法が望まれている。本研究では、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)などの温度感応性高分子が水溶液中において臨界温度(約32℃)以上で凝集・析出し、その際に水中の微量疎水性有機化合物を高分子凝縮体中に濃縮・分離する現象に着目し、この高分子を捕集媒体として、タンパク質などをマトリックスとする血清、菌体培養液から脂溶性毒物であるエンドトキシン類を除去する簡易迅速な分離法を構築するための基礎的検討を行う。 1. 温度感応性高分子のデザインと合成 高分子の構造が、高分子凝集相へのリポ多糖であるエンドトキシン類の取り込みに及ぼす影響を系統的に調べるために、N-イソプロピルアクリルアミドモノマーから種々の型の高分子を合成した。 2. 合成された高分子およびエンドトキシンの性質が捕集効率に及ぼす影響の検討 1.で得られた温度感応性高分子を捕集媒体とし、高分子の疎水性がエンドトキシンの捕集効率に及ぼす影響を明らかにする。尚、リポ多糖であるエンドトキシシは、糖鎖部分が多様なので、類似の構造を持つ数種の化合物をモデルとして、高分子の疎水基サイズの違い、側鎖の存在および重合度、共重合、ランダム重合の違い等々による親水性ー親油性バランスがエンドトキシンの補集効率に及ぼす影響を明らかにした。高分子の相転移の臨界温度が、マトリックスであるタンパク質の凝固を来たさない範囲になるように高分子重合度を調整した。さらにはエンドトキシン及び生体関連試料マトリックスと、合成した温度感応性高分子との相互作用を明らかにし、エンドトキシンに対する高い選択性と捕集効率を有する分離システムを構築する予定である。
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