研究概要 |
近年、各種肝胆道疾患との関連から、成人及び新生児・胎児における体液、組織中の胆汁酸異常成分(異常胆汁酸)、とりわけ胆汁酸C-24エステル(アシル)グルコシドの体内動態に多大の注目が寄せられ、それらの信頼度の高い測定法の開発・確立が望まれている。しかしそれらは構造が相互に酷似し、標品が得難く、生体内に微量しか存在しないうえ、高極性・難揮発生であることなどから、それらの測定は極めて困難な課題となっている。 そこで先ず、リトコール酸、ケノデオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸、デオキシコール酸、コール酸を対象として、それらの側鎖末端C-24位カルボキシル基にグルコースがエステル結合した新規胆汁酸C-24エステルグルコシド標品の合成を試みた。その結果、糖原料として2,3,4,6-テトラ-O-ベンジルグルコピラノース、縮合剤として2-クロロ-1,3,5-トリクロロトリニトロベンゼンを用いるエステル化反応により、相応する胆汁酸C-24エステルグルコシド ベンジルエーテル誘導体が好収率で得られることが判明した。生成したαβ-アノマー体は中圧液体クロマトグラフィーによって分離され、このものを10%PdC触媒を用いて接触水素化反応することにより、目的とする遊離の胆汁酸エステルグルコシド標品が合成された。現在、合成標品を用い、その分離分析法の確立と体内動態を検討中である。
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