研究概要 |
今年度は、これまで提唱していたメガサテライトDNAという新しい概念を公に認められたことが最も大きな成果である(Gondo et al.,Genomics 54:39-49,1998)。さらに、このRS447メガサテライトDNAの遺伝子構造をより詳細に実験的に解析検討し、分子進化的な研究にも発展できるよう、ヒト以外の哺乳動物のRS447相同配列の単離に着手した。すでにチャイニーズハムスターゲノムDNAがら相同配列クローンを得た。その中で独立な3つのクローンの全塩基配列を決定したところ、単位長は4976〜4996bpで互いの相同性は99.3%以上あり、ヒトと同様に単位配列そのものはほとんど同じであることを確認した。また、ハプロイド当りのコピー数も75と推定されヒトとほぼ同等であることがわかった。さらに、単位配列中にl704bpがらなるORF様配列も確認できた。核酸データベース検索を行ったところ、CHORS447のORF様配列はマウス脱ユビキチン化酵素DUB-1、DUB-2配列と最も相同性が高く、それぞれ、67.0%、66.2%であった。次に相同性が高かったのはヒトRS447配列であり59.6%であった。また、このチャイニーズハムスターのRS447相同遺伝子クローンを用いることによって、これまで不明瞭な結果しか得られなかったラット、マウスからも明確な解析結果が得られる様になり、ラットにも相同するタンデムリピートがあることが判明した。一方、マウスにおいても多数のバンドが検出されたもののタンデム構造は認められず、これまで解析した哺乳動物の中ではじめて、RS447相同遺伝子がないか、もしくは存在してもタンデム構造をとらない最初の例となった。そこで、ヒトRS447遺伝子そのものを導入したトランスジェニックマウスを作成することにした。すでに11系統得ている。
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